車を売る具体的な手順①
数回に渡って車を売る具体的な手順を説明していきます。
皆さんは車を売る方法を教わったことはありますか。私の場合は駐車の誘導、お客様に接する際の作法、接遇などの営業として一般常識は教わりましたが、具体的方法、手順は教わりませんでした。また、店長や先輩社員からは「お客様の話をよく聞け」「お客様の言いなりになっているだけではだめだ」など、大切なことを教わりましたが、
いつ、何を、どういう順番で、どのタイミングでやるのかを教わることはありませんでした。
車の売り方の手順にしました。それを商談のステップと読んでいます。以降、他メーカー車に乗っているお客様、販売店とこれまで取引がなかったいわゆる未納先のお客様への売り方を書いていきます。
今回は①お出迎え、ご用件伺いです。ロープレ風に実際の対応をイメージして会話形式で書いていきます。その次に、会話の意図やポイントを説明します。
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<商談のステップ>
①お出迎え&ご用件伺い ※今回の範囲
②展示車説明
③デモ
④査定
⑤見積もり
⑥購入意思確認(いわゆるクロージング)
⑦条件決定
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■会話の例
(店舗の駐車場が見える位置で未納先のご来店を待つ。ご来店されたら一番に対応する)※ポイント1
(ホンダフィットが来店)
(ダッシュで駐車場へ誘導)
営業「オーライ、オーライ、オーライ、はい、OKです。」
(お客様が車から出てくる)
営業「いらっしゃいませ。」
(1~2秒ほど、一息置いて)
営業「(明るく、ハキハキと、丁寧に)こんにちは」※ポイント2
お客様「あ、こんにちは・・・。」ポイント3-1
営業「ご来店ありがとうございます。ご用件を伺ってもよろしいでしょうか」
お客様「アクアのカタログが欲しいんだけど。」
営業「かしこまりました。お持ちいたします。アクアはじっくりとご覧になったことはありますか?」※ポイント3
お客様「いや、ないですね」
営業「そうでしたか、折角でしたら展示車両がありますので、カタログを持って来る間にぜひご覧ください。こちらへどうぞ。」※ポイント4
(店内へ誘導しながら)
営業「先週まで雨が多かったですけど、ここ数日でかなり暑くなりましたね。」※ポイント5
お客様「そうですね」
営業「家でクーラーつけっぱなしなんですよ」
お客様「そうなんですね」
(なんでもいいので5往復を目指して会話する。盛り上げる必要はなくて、会話していればOK)
営業「こちらがアクアです。カタログ持ってまいりますので御覧ください。」
(カタログを取りに行く)
(もどってくる)
営業「アクアのことはインターネットとかでご存知でしたか?」※ポイント6-1
お客様「そうですね。」
営業「どういったところが気になっていらっしゃいますか?」※ポイント6-2
■会話の意図、ポイント
※ポイント1
今回未納先のお客様を想定している最大の理由は、未納先のほうが売れやすいからです。既納先のお客様に提案するタイミングは車検前が多いと思いますが、車を買いたいと思っているかどうかはわかりません。買う気がないお客様に売ってこそ営業だ、という考えもあるかもしれませんが、買う気のあるお客様に売るほうが簡単でしょう。
未納先のお客様が来店された場合は、ほぼ確実に車を買いたいという気持ちがあると思われます。「ディーラーへ行くと車を売りつけられるのではないか」「言いくるめられるのではないか」と思っているお客様は多いです。ディーラーに気軽に行きずらい中、来てくれたお客様は車が欲しいと考えています。また車購入までに来店するお店は数年までまでは7~8回ほどだったものが、2回以下という調査もあるそうです。
※ポイント2
「いらっしゃいませ」と「こんにちは」の間に一息開けるのはお客様にこんにちは、を返してもらい、少しでも親近感を感じてもらうためです。ポイント1でも触れましたが、お客様は「車を売りつけられないか」など、かなり営業に対して警戒していらっしゃると思います。警戒、は言いすぎかもしれまでんが、「車は買いたいけれども、がっつり営業はされたくない。自分のペースで車を見たい。だかれ買いたい気持ちは出したくない」という状態かと思います。
こういったなかで、お客様の方から営業に挨拶を返していただき少しでも緊張感をやわらげるために、間を開けてこんにちはを投げかけ、返してもらうことがポイント2の狙いです。
※ポイント3
「カタログが欲しい」と言われてカタログを渡してお帰りいただいてはいけません。なぜならば、お客様は車を買いたいと思っているからです。買いたいと思っているお客様に車のことを教えてあげて、車を買うという決心をつけるために役に立つことをするのが営業の仕事です。
カタログを貰って家でじっくり見て、決心がついてから再度来店するご予定かもしれませんが、折角ご来店頂いたので営業としてお役に立つためにアクアのことを説明する事が大事です。
”じっくり”見たことがあるかと聞かれれば、購入前なのでないはずです。「ないですね」という答えを期待して「”じっくり”みたことはありますか?」と聞きます。ないと言うので、折角なので実際の車を見ていただきましょう。そのほうがお客様のためになります。
※ポイント4
車を見ていただくために、率先してお客様を誘導します。「見てみますか?」と聞くと警戒しているので「いや、いいです」と言われてしまうかもしれません。車が欲しいお客様は車を見たいはずなので、「御覧ください、こちらへどうぞ」と強引すぎず、でも積極的に店内の展示車両に誘導しましょう。
※ポイント5
店内に向かう途中で何でもいいので雑談をします。お客様は警戒しているという話を繰り返ししていますが、その警戒を少しでも解くことが目的です。「営業に売り込まれるかも」という思いを「この営業は普通の人だな」と思ってもらえれば十分です。盛り上げる必要、変に笑いを取る必要はありません。天気など当たり障りのない会話を5往復することを目指してください。結構難しいので、ロープレで練習しても良いと思います。
※ポイント6-1
ここで大事なことは2つあります。
1つ目はカタログをすぐに渡さない、ことです。ここはもしかしたら渡してしまうのが良いかもしれませんが、私としてはカタログを渡さず、次回の記事で紹介するステップ2展示車説明につなげるために渡さないことを推奨します。渡すとカタログを貰う、というお客様の目的が達成されてしまい、帰ってしまうかもしれません。
お客様の最終的な目的は車を買うことなので、そのために展示車を説明する、そのためにすぐにはカタログを渡さない、と考えてください。
もちろん、カタログください、と言われればお渡ししましょう。
2つ目の大事なことは、この先の展示車説明で話すポイントを絞るためにどれほどお客様がアクアのことを知っていて、何に関心があるかを確かめることです。ポイント2、ポイント4でうまく警戒をといておけば、この程度の質問には答えてくれるはずです。
※ポイント6-2
6-1で知っていることを確認したら、アクアを買う前に、確認したいこと、もっと詳しく知りたいことを質問します。これを聞き出せたらこの先の展示車説明に入っていきます。繰り返しになりますが、ポイント2と4が大事なのは、ここで”何が気になっているか”を聞き出すためです。
警戒が解けていないとお客様は「これを聞き出して、言いくるめる気だな!」と思ってしまいます。十分に警戒を解くために挨拶を返していただいたり、雑談を5往復する必要があります。
ステップ①は以上です。次回はステップ②を説明します。